東北大学大学院環境科学研究科 先進社会環境学専攻 資源戦略学講座 環境機能材料創成学分野 佐藤義倫研究室

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研究内容

ハロゲン化-脱ハロゲン化を経由した炭素材料への異種軽元素や欠陥の制御ドーピング

sp2混成軌道の共有結合を持つ炭素材料のベーサル面(網面)は化学的に安定ですが、軽元素(ホウ素、窒素、酸素、フッ素、硫黄、リン)や空孔欠陥がベーサル面にドープすると、炭素材料の物性が大きく変化します。本研究室では、ハロゲン化-脱ハロゲン化による炭素材料や炭化物材料の表面を改質しています。例えば、フッ素化炭素材料を熱処理によって脱フッ素化する際に、軽元素供給源が存在する場合は炭素材料に軽元素のドーピング、軽元素供給源が存在しない場合は欠陥の導入が可能となります。またハロゲン化-脱ハロゲン化によって炭素-炭素結合を作ることができ、炭素材料同士の接合も可能です。本研究では、このハロゲン化-脱ハロゲン化を制御することで、材料の表面と物性をコントロールすることを目指しています。

固体高分子形燃料電池、低温アンモニア燃料電池に使用する機能性炭素ナノ材料触媒の設計と創成

低炭素かつ持続可能型エネルギー社会の構築が不可欠である現代において、水素やアンモニアを利用する燃料電池への期待は大きくなるばかりです。特に燃料電池自動車や家庭用燃料電池として実用化されている固体高分子形燃料電池(polymer electrolyte fuel cell: PEFC)は、水素と酸素の反応によって熱と電気エネルギーを発生する低炭素かつ高効率なエネルギーデバイスであり、次世代社会で切望されている電池の1つです。PEFCの性能は空気極での酸素還元反応(oxygen reduction reaction: ORR)に左右されますが、今日では触媒金属であるPtナノ粒子を担持したカーボンブラック(Pt/C)がORR触媒として用いられています。しかし、Ptは価格の不安定性やデバイスの高コスト化が避けられず、PEFCの大規模商用化の大きな障害となっています。本研究では、炭素材料や炭化物をベースに、軽元素のホウ素、窒素、酸素、硫黄、リンを用いた高機能な表面・界面を持つ軽元素材料のORR触媒の合成と触媒活性メカニズムの研究を行っています。

機能性環境発電材料の創成

環境発電(エネルギーハーベスティング)は、生活環境から微量のエネルギーを採取し、電気に変換して利用する技術です。微量のエネルギー源は、光、熱、振動、電磁波になります。気づかぬうちに発電して有効利用する環境発電は、SDGs(Sustainable Development Goals)に関する持続可能な社会の構築に注目されています。本研究では、光・荷重・熱・バイオマスを利用した機能性環境発電材料の創成に挑戦しています。